この記事では、みなとみらいを中心に、横浜都心臨海部の2025年以降の都市開発計画についてまとめています。
再開発が続くみなとみらいエリア。ここ数年だけでも、
インターコンチネンタル横浜Pier 8(2019), ザ・カハラ・ホテル&リゾート横浜(2020), ウェスティンホテル横浜(2022)などラグジュアリーホテル
横浜コネクトスクエア(2023), 横浜シンフォステージ(2024)など大規模商業施設
そしてYOKOHAMA AIR CABIN(2021), 神奈川県立図書館(2022・紅葉ヶ丘), Kアリーナ横浜(2023)など毎年のように大規模な開発が竣工しています。
大規模な都市開発が続く背景の一つは、横浜都心臨海部が特定都市再生緊急整備地域(全国で15地域のみ)に指定されていることにあります。
これは「都市の国際競争力の強化を図る上で特に有効な地域として政令で指定する地域 (国土交通省)」とあるように官民が連携して再開発を重点的に進めると宣言されている、有望で魅力的な都市エリアです。
- 東京都心・臨海地域 2,043 ha
- 横浜都心・臨海地域 331 ha
- 名古屋駅周辺地域 303 ha
- 福岡都心地域 231 ha
- 新宿駅周辺地域 221 ha
- 大阪駅周辺地域 209 ha
- 品川・田町周辺地域 184 ha
臨港パークプロジェクト
臨港パーク北側エリアに、カフェ(1F)ランニングテーション(2F)レストラン(3F)からなる商業施設が、2025年初夏にオープン予定です。
これまで公園内にカフェやレストランがなかったので、とても楽しみなアップデートです。ふらっと公園に出掛けてカフェでコーヒーを飲んだり、横浜港を見渡すレストランで食事をした後に海岸沿いを散歩したり、臨港パークの楽しみ方が一層広がりそうです。
目を引く建築デザインも良く、都市公園のシンボリックな存在になりそうです。
https://draft.co.jp/journal/1254
公開されている設計事務所のWebサイトも充実しており、本プロジェクトにかける意気込みが伝わって来ます。
臨港パーク〜赤レンガ倉庫〜大さん橋〜山下公園までの往復10 kmは、横浜都心臨海部の景観の魅力を凝縮したジョギングコース。この起点にランニングステーションが出来ることで、みなとみらいに集まるランナー達にとって更に魅力的な環境になるでしょう。
https://yokohamamarathon.jp/2022/wp-content/uploads/2021/06/baywalk-map23_0609.pdf
オーシャンビューのカフェもレストランも、開放的な気分で食事ができそうでとても楽しみですね。
竣工予定 2025年
物件概要 延床 約1,600平米、3階建
臨港パーク先端部
臨港パークでは、もう一つ開発計画が進んでいます。
海岸沿いの先端部にベイブリッジを望む展望ゾーンや、人工海浜(水辺で遊ぶための人工的なビーチエリア)、シーバスなど観光船のための桟橋などが整備される予定です。すでに着工済で、2025年度の完成を目指しているようです。
都心にいながら海を存分に感じられる仕掛けが揃っていて、臨港パークの最後のピースが埋まった感じで魅力的に感じます!
現状この辺りは臨港パークの端に位置しやや寂しいエリアなのですが、計画されている展望ゾーンやビーチエリアは新たな賑わいを生む強いポテンシャルがありそう楽しみです。前述の臨港パーク内の商業施設とも近く、相乗効果も期待できそうです。
竣工予定 2025 – 2026年
BASEGATE横浜関内
関内駅南口に、横浜スタジアム直結のオフィス・商業・ホテルが一体となった33階建ての施設が開業予定です。
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2024/1113
関内駅エリアは当施設を皮切りに再開発の予定が続き、街の様子も大きく様変わりしそうです。横浜駅・みなとみらい・関内駅という臨海都心部の連続性を生む都市開発は、横浜全体の魅力を大きく高めてくれそうです。
目玉となるであろう常設型ライブビューイングアリーナでは、様々なスポーツを観ながら飲食を楽しむことができるスペースになる模様。
メインは、隣接するハマスタを本拠地とするベイスターズの試合でしょう。ハマスタでは年間70試合ほど野球の試合が開催されるので、活気が継続しやすく再開発のコンテンツとして非常に魅力的だと思われます。
ホテルは、星野リゾートの「街ナカ」ホテルブランドOMO 7が開業予定。OMOはランク毎に1, 3, 5, 7と数字がつけられていて、横浜にオープンするOMO 7はフルサービスホテル(一番ランクが高い)となります。
街歩きのサポートをコンセプトとするOMOホテルの開業は、新たな観光客を呼び込み街の賑わいにも寄与しそうです。
https://hoshinoresorts.com/ja/brands/omo
KANNAIバル地区(仮称)には、7~8坪程度の小規模の店舗が入る見込みです。現在34店舗募集中で、関内の元々の繁華街としてのカルチャーを残しつつ、令和スタイルの綺麗な都市型ネオ横丁スタイルになりそうです。気軽にランチやハシゴ酒を楽しめそうですね。
https://kannai-office.com/index.html#about
竣工予定 2025年
物件概要 延床 約128,500平米、33階建他
関内駅前には、このBASEGATE(旧市庁舎街区)以外に、更に2棟の再開発ビルが2029年に竣工予定です。
グローバル企業本社・研究拠点やハイグレード賃貸物件などが入り、街の空気も変わりそうな気がします。
https://www.mec.co.jp/news/archives/mec201001_kannaiminatocho.pdf
コンラッド横浜 / ラ・トゥール
馬車道・北仲エリアに、ヒルトンのラグジュアリーブランドホテル『コンラッド』と、住友不動産の最上級賃貸レジデンス『ラ・トゥール』からなる複合ビルの開発が進んでいます。
2020年に竣工した横浜北仲ノットの西側に位置し、馬車道エリアの中では一番みなとみらい側の地区です。
コンラッドホテルは、国内では東京と大阪の2箇所だけ開業しており、東京は1泊10万円, 大阪は1泊8万円〜の価格帯です。このコンラッド横浜でも気合いの入ったラグジュアリーな仕上がりに期待します。
美しいビル群を背景に観覧車やロープウェーなど、抜群のみなとみらいビューが期待できそうです。
レストラン4店舗も楽しみですね。
同ホテルは、本計画の地上1階から16階を占め、約48㎡のスタンダードルームを中心とした全272室
の客室のほか、料飲施設4店舗、ジム、スパ、屋内プール、エグゼクティブラウンジやウェディングチャ
ペルに加え、宴会や会議の需要にも対応できる約360㎡のボールルームやミーティングスペースを備
える予定です。
コンラッドよりも更に高層の18階から40階に位置するのが、(仮称)ラ・トゥール横浜の住居棟となります。
ついに横浜にも超高級賃貸ブランドがやって来ると思うと、感慨深いですね。
2024年時点で詳細は明らかになっていませんが、[1LDK – 4LDK, 65 – 278平米] 平均占有面積は100平米超えとのことです。近年の土地・建築費価格の高騰もあって新築マンションの平均面積は縮小傾向ですが、本作ではしっかりとした広さが確保されています。
ちなみに隣接する北仲タワーでは、2024年時点で80平米強・2LDK・中層階で月額55万円で賃貸募集がなされています。(仮称)ラ・トゥール横浜は、平均家賃70万円くらいになるのでしょうか。
https://www.sumitomo-latour.jp/yokohama
竣工予定 2026年
物件概要 延床 約9,300平米、40階建
この馬車道・北仲エリアには、加えてもう1棟住宅を中心とするタワー棟(40階)の建設がB-1地区で進んでいます。こちらは2027年に竣工予定です。住戸数は704戸で、こちらは分譲になるでしょうか。
特に北側・東側のお部屋は、美しいみなとみらい・運河ビューが広がる眺望に優れた環境になりそうです。
中央の一番高い建物が既存のザ・タワー横浜北仲、その右がコンラッド横浜 / ラ・トゥールで、左がもう1棟のタワー棟(B-1地区)です。
みなとみらい 52街区
2024年春に開業した横浜シンフォステージ(YAHAMAのビル)の隣に、ミュージアム棟とオフィス棟からなる大規模開発が2027年に竣工予定です。着工済みで順調に開発が進んでいます。
ミュージアム棟は、世界初のゲームアートミュージアムと約3,000㎡のアートガーデンから構成されます。
世界初というだけあって「ゲームアートミュージアム」をまだよくイメージできないのですが、日本を代表する新しい現代アートの領域の一つになっていくんだろうなと思います。
ゲームはメインビジュアル、映像、キャラクターデザイン、インタラティブデザインなどの複合芸術です。文化芸術の街、横浜からゲームアートを世界に発信し、MM 地区全体の魅力向上に貢献します。
横浜市HP 都市計画提案
29階建てのオフィス棟は、みなとみらい線 新高島駅から徒歩2分、巨大ターミナル駅である横浜駅からも徒歩10分、いずれも歩行者専用のデッキで接続されるためオフィス環境として良好です。総面積20,000坪に及ぶ最先端の高規格オフィス機能は、みなとみらいエリアにおいて更に人の流れを活性化させそうです。
住民目線で特に注目しているのは、ミュージアム棟とオフィス棟の間に位置するキング軸と呼ばれる歩行者ネットワークの整備です。これにより横浜駅から高島中央公園、臨港パークまでが歩行者専用路で直結し、緑化とカフェやワーキングラウンジなどの商業施設のバランスの取れた心地よい賑わいのある空間が完成します。
近隣の住民にとって、横浜駅方面へのアクセスや景観として恩恵を感じやすい開発になりそうです。
また住居エリアから見てオフィス棟は奥に位置するため圧迫感は感じにくく、むしろ手前に位置する広大なアートガーデンが良い借景になると思われます。
個人的に開発計画でツボだったのは「街中ピクニックを楽しめるランチボックスの販売等を行います。」という箇所。みなとみらいエリアは街中で自由に心地よく座れる空間も多く、市のHPに掲載される計画書にも「街ナカ ピクニック」という表現が出てくるとなんだか嬉しい気持ちになります(笑)
竣工予定 2027年
物件概要 延床 約113,900平米、29階建他
横浜ロイヤルパークホテル改修
1993年に開業し昨年2023年には30周年を迎えたロイヤルパークホテルですが、2025年から2028年頃まで営業を一時休止して大規模修繕を実施します。
2022年から順次客室のリニューアルを進めていましたが、ついに全館で3年以上にわたる大掛かりな修繕を行うようです。詳細は明らかにされていませんが、主要構造部の修繕の他、ロビーラウンジやレストラン・バーなどの内装デザインや水回りがアップデートするのではないかと期待しています。
https://www.welcome.city.yokohama.jp/blog/detail.php?blog_id=176#
地上70階建の横浜ランドマークタワーは、その名の通り横浜のランドマークだと思っています。その象徴が横浜ロイヤルパークホテルです。ランドマークとしての威信をかけたグレードアップを期待しています!
HARBOR EDGE PROJECT
みなとみらい21中央地区62街区というKアリーナの東、OKストアの裏手のエリアにグローバルラグジュアリーホテルの計画があります。帷子川の河口に面した場所ですね。
Berjayaグループが2024年春に土地取得の契約を終えており、フォーシーズンズホテルを核とした複合施設になると言われています。低層階にはデジタル水族館や水辺の景色を生かした飲食店も構想されていて、宿泊客以外も楽しめるエンタメ施設になりそうです。
みなとみらいエリアには臨海部でありながら、意外と水族館や海に面した飲食店群はなかったので楽しみです!
本計画は、国土交通省が指定する認定民間都市再生事業計画の一つです。東京ミッドタウンやグラングリーン大阪など都市開発のシンボルになる案件が指定される計画で、認定が始まった約20年間で指定されたのは数ある再開発のうちわずか166案件です。
国土交通省が認定する税制上の特例措置も受けることのできる肝入りのプロジェクト。みなとみらいエリアですと、KアリーナやYAMAHAの横浜シンフォステージ、横浜コネクトスクエアなどが民間都市再生事業計画に指定されています。どれも街をアップデートする存在感のあるプロジェクトですので、本案件もすごく期待しています。
竣工予定 2028年
物件概要 延床 約88,500平米、14階建
Linkage Terrace
みなとみらい21中央地区60・61街区、Kアリーナの隣にLinkage Terraceという複合施設が計画されています。
アンパンマンミュージアムとOKストアの間の街区で、今はKアリーナに向かう動線になっているエリアです。
2023年に開業したKアリーナ横浜やヒルトン横浜などを擁するMusic Terrace(ミュージックテラス)とペデストリアンデッキで接続されるようで、かなり大規模な開発案件になりそうです。
2026年に着工し、2028年に岩崎学園系の専門学校が入居予定の西棟が竣工、翌年にホテル棟(27階建)、ミュージアム(7階建)、オフィス(21階建)、商業施設(2階建)からなる東棟が竣工予定です。
イメージパース中央にある商業施設(2階建)は、Kアリーナまでの導線上にあって魅力的な歩行者空間になりそうですね。前述の52街区とも歩行者デッキで繋がる予定なので、一体となった開発が期待されます。
特に気になるのはミュージアム(7階建)です。詳細は明らかになっていませんが、かなり規模感のあるミュージアムなのでどんな展示になるか楽しみです。根拠はないですが、チームラボみたいなデジタルアートの展示かな、なんて想像しています。
ホテルブランドも気になります。こちらも根拠はないですが、お隣Linkage Terraceに構えるヒルトンの姉妹ブランドである「ダブルツリー byヒルトン」かな、と勝手に予想しています。ちなみに沖縄の北谷で、ヒルトンとダブルツリー byヒルトンが隣接エリアで展開されています。
ちなみにダブルツリー byヒルトンブランドは、ヒルトンと同じカテゴリのブランドです。仮にLinkage Terraceにできるのであれば、ヒルトン横浜とほぼ同価格帯か気持ちお安めくらいと予想します。
竣工予定 2028-2029年
物件概要 東棟 約130,000平米 27階建 / 西棟 約25,000平米 13階建
たくさんの再開発計画を紹介してきましたが、この先も新たな計画が発表されると思います!
みなとみらいエリアはほぼ全ての街区で開発完了 or 計画立案されたように見えますが、44-2街区:LIVINGTOWN みなとみらいのように暫定利用となっているエリアもあります。こうしたエリアでは、比較的早いタイミングで次の開発計画が示されると予想しています。
今も十分利便性が高く刺激に溢れたエリアですが、この先どんな進化を遂げるか想像するのも楽しみですね〜
開発で街がアップデートされると暮らしに彩りが増し利便性も高まるので、住民目線でも非常にポジティブに捉えています。日々街が変化する様子は活気に繋がり、都市に住む醍醐味の一つだと実感します!